くるみDiary

昭和の少女漫画や日々感じた事を書いています!

最終回がとても良かった「はいからさんが通る」大和和紀

「はいからさんが通る」が週刊少女フレンドに連載当時、私は見ていなくて、アニメ化された時も見た記憶がないんですよね、でもオープニング「はいからさんが通る」とエンディング「ごきげんいかが?紅緒です」は知っていてどちらも好きな曲なんです。

それで「はいからさんが通る」に夢中になったのは1980年代に入ってから、きっかけは大和和紀さんが描いていた「あさきゆめみし」と「ヨコハマ物語」が好きで読んでいたのでそれがきっかけで大和先生の過去の作品「はいからさんが通る」を読んだんじゃないかなと思うんです、ちょっとその辺がうろ覚えで・・・

私はヒロインの紅緒も好きですがそれと同じくらい伊集院少尉のファンで、中学生の時に透明の下敷きに少尉のイラストを挟んでいたんです、単行本で読んでいたのですがまさか切り抜くわけにもいかないので、トレーシングペーパーに少尉の顔を写して自分で描いたものだったのですが、コピーなんかあったのかどうか知らなかったし、それしか方法がなかったんですよね。

それで亡くなったと思っていた少尉が実は生きていて、でも少尉は最初は記憶を失っていてラリサの夫で少尉と顔がそっくりな異父弟サーシャとしてなんですが、少尉は記憶を取り戻してからも命の恩人であり病気に冒されているラリサから離れる事はできず、この時はラリサと別れてほしいなと思っていましたが、ラリサもサーシャが生きていた頃は夫から愛されていないと勝手に思い込んでいてしまっていて実はそれは勘違いだったのですが、その後、サーシャはラリサを助けるために亡くなってしまいます、それが原因でラリサはいつまでもサーシャにこだわり、その身代わりとして少尉を手放さなかったのですが、後になってみるとラリサの苦悩もとても分かるんですよね。

紅緒が働いている出版社「冗談社」青江編集長も理由があり女嫌いになっていましたが、紅緒と接するうちに惹かれて変わって行きます、この編集長も素敵なんですよね~、伊集院家の事で問題が起こり紅緒と編集長が結婚する事になりますが、私はもちろん少尉と結婚してほしかったけれど、編集長だったらいいかななんて気持ちにもなっていました。

そして結婚式が始まって間もなく関東大震災が起こります、ラリサは少尉をかばって「あなたの恋を取り戻して」と言い残し亡くなります、少尉は紅緒の元に駆けつけ、1人取り残されていた紅緒と無事会う事ができます。

💛少尉「もう二度と話さない」

💛紅緒「離さないでもう」

この2人のセリフ良かったですね~

それで紅緒と少尉は結婚し最終回を迎えるわけですが、やっぱり心の底ではいつも思い合っている2人が一緒になって良かった。

編集長はかなりお気の毒な感じだったのだけれど、紅緒の気持ちを誰よりもよく知っていたので身を引いた方が賢明だと思ったのでしょう、その事で編集長の魅力がさらに増しました。

「はいからさんが通る」はハッピーエンドで良かった、紅緒と少尉が一緒にならなかったらいつまでも引きずってしまう暗い物語になってしまっていたかもしれない、だからあの終わり方で本当に良かったって心から思います。

コミックで最終回の後に収録されている「はいからさんが通る・花の番外編ですが、登場人物のその後を知る事ができます。

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紅緒の事が好きだった幼なじみの蘭丸はおしとやかなそのこに好かれますが、そのこの兄に反対されて悩み、紅緒に相談に行きます、この時、紅緒と少尉(現在は大尉)の間に秋星(しゅうせい)が誕生しています、顔は少尉似で性格は紅緒似。兄にも許してもらい蘭丸と結婚できる事になったそのこは豹変し本性を表す、実は性格はガサツな紅緒似だった。

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大正12年11月、紅緒の親友で華族出身の環は少尉の部下であった鬼島を追いかけて「おしかけ女房に」と満州まで行きます、鬼島は環に惹かれていましたが身分違いという事もあり拒絶していました。鬼島には子供の頃、優しく接してくれたゆきのという女性がいたのですが自ら命を絶ってしまい・・・目を怪我したのもその時でその話しを聞いた環は「それでもそばにいたい」と言います。

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傷心の青江編集長はフランス・パリに向かいます、そこで紅緒にそっくりな女性と知り合います、しかしそれは女装をしたペールという少年でスリの被害にあいます、その後、編集長はペールを養子にし、春星と名乗りその後、妻を迎え青江家を継ぎます、編集長は38歳の若さで亡くなってしまいます。

この番外編、面白かったり感動したり私はとても好きなのですが、唯一残念に思ったのが青江編集長の恋愛が描かれていなかった事ですね。恋愛ではなくペールを養子に迎えた話しだったのでこれが私としてはイマイチだったかなと思いました、相手の女性は紅緒に似ていてもいなくてもいいので編集長の恋物語が読みたかったですね、38歳で亡くなるならなおさら。鬼島さんと環のストーリーが良かったので編集長もあんな感じで描いてもらいたかったなと思いました。

紅緒と少尉のその後を知りたいとは思っても完全に続編となると案外つまらなくなってしまう事が多いので、番外編の蘭丸の回に紅緒と少尉、その子供がチラっと登場するくらいがちょうどいいですね、これは大和先生さすがに上手いなと思いました。

「はいからさんが通る」は週刊少女フレンド1975年7号~1977年10号に連載されていたのですが、大和先生の漫画はこの時代が一番好きですね、登場人物が濃い線でハッキリと描かれていてキレイなんですよね、「ヨコハマ物語」を読んでいて余計そう思いました、80年代になると絵が変わってきてどんなにストーリーが面白くても画風が自分の好みじゃないと、完全に感情移入ってできなくなってしまうものなんですよ。

これは大和先生だけではなく70年代に活躍されていた漫画家の先生方の多くがその傾向にあるんですけどね。

「はいからさんが通る」がこの時代に描かれていたのは幸運だったなとつくづく思いますね、紅緒や少尉、その他の登場人物どれも魅力的なのはこの画風だからというのも関係していると思います。

「はいからさんが通る」は今読んでも楽しめる漫画です。

※最後に・・・少ししか登場しませんが、異父弟のサーシャも少尉に負けないくらい素敵でしたね🧡