くるみDiary

昭和の少女漫画や日々感じた事を書いています!

大和和紀デビュー55周年記念本を読んだ感想

総特集「大和和紀デビュー55周年記念」華麗に自由にしなやかに

大和先生のインタビュー、青池保子×山岸涼子×大和和紀対談、仕事場探訪、宝塚歌劇花組公演「はいからさんが通る」柚香光&華優希インタビューなど他にもいろいろな企画が掲載されていて豪華で贅沢な大和和紀本です。

大和先生は高校2年から描き始めて応募した作品が入選、短大1年の時に「どろぼう天使」でデビュー、卒業後の1968年5月に同郷の漫画家、忠津陽子さんと共に上京し同じアパートに住み隣同士だったそうです。

私はこの本を読むまで忠津陽子さんの事は存じ上げなかったのですが、1960年代末から70年代に活躍されていたそうで「ザ・少女マンガ!忠津陽子の世界」が出版されているので根強いファンがいるんだなと思いました。

大和先生は上京後はものすごい勢いで仕事の依頼があって「週刊少女フレンド」「別冊フレンド」「なかよし」の3誌と関わっていて「私そんなに描けません、これでは寝るなと言っているのと同じでは」と言うと「里中満智子先生はベッドで寝ません、机にうつぶせて眠るんです、それで月産400ページを上げているんです、あなたは100ページくらいでしょう」と言われると断れなかったとの事。

それにしても漫画家の仕事ってかなりハードなんですね、なんか想像を絶するというか、どんなに忙しくてもやっぱり描く事は好きだたら続けているんですよね、大和先生はどちらかというと原作付きよりも自分でストーリーを考えて描く方が好きだったみたいですね。

大和先生が高校時代にテレビ中継された宝塚「リュシエンヌの鏡」見て描いたノート漫画も掲載されています。1965年1月に星組で演じられているのでその舞台だと思います、まさに原点、しかし一度見ただけでこんなに描けるなんて記憶力もすごい。

ファンが選んだ大和和紀作品の「このキャラが好き!」(マンガ研究者・ライター・編集者など16人)では

1位 花村紅緒2位 青江冬星3位 叶万里子

となっていて青江編集長の人気が高い、やっぱり紅緒の幸せを思い潔く身をひいたのが良かったのかも、伊集院少尉は10位ですからね。

デビュー作の「どろぼう天使」この本に掲載されています、描き方がシンプルで初々しい感じでこれが後に「はいからさんが通る」の画風になるとはちょっと想像できないくらいなんですが、やっぱり経験を経てあの完成度の高い作品になったんだろうなと思いました。

巻末に大和和紀全作品リストも載っていて、あの時代にはこういった作品を発表していたんだなと知る事ができます。

それから私が初めて知ったのは宝塚歌劇版「はいからさんが通る」って紅緒ではなく少尉が主役だって事です、男役トップが主役という宝塚歌劇の伝統に沿ったものみたいです、なるほど。

インタビューで講談社系の絵集英社系の絵ってなんとなくありますよねと聞かれた時

「ありますねー、作品の傾向というか講談社の方は何となく硬いよね、私自身は柔らかい集英社系に憧れがありまして・・・」

と大和先生はおっしゃっていましたが、確かに講談社と集英社の絵って雰囲気というか違いがありますよね、これはとても分かりやすい。私は「りぼん」より「なかよし」の方を好んで読んでいたので講談社系の方が愛着があるかな。

大和先生の事がこれでもかというくらい情報が満載で、大和和紀ファンならぜひ読んでほしい1冊だと思いました。