「マンガ愛してます」は1977年に発売された里中満智子さんのこれまでの自分自身のお話し、自伝ですね。
それまで漫画家になるには、投稿が、持ち込みか、だれか先生の弟子入りしてそのつながりで編集者に認めてもらうかその3つしかなかったのですが、里中先生は初めて開催された講談社の新人漫画賞に16歳の時応募して入選。
それが「ピアの肖像」1964年
漫画家としてデビューしますが当時、高卒女子の初任給が2万円以下だった頃、6万4千円だったのだから、かなりの収入だった事が分かります。
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その後、上京し編集者と恋愛関係になりますが、里中先生は私生活も作品に反映してしまうようで、あまりにも陶酔してしまいその頃「ロミオとジュリエット」のような自分たちの恋愛を描いたような作品が続き、連載していた「王女エレナ」は大不人気大失敗作として早々に連載を打ち切られてしまいます。
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その後、その編集者と結婚するのですが、編集長から2人への第一声が「子供は作らないで下さいよ、仕事にさしつかえるから」というものでした。
それで避妊具を購入する事になるのですが、当時はスーパーなどで売っていなく、薬局に行って面と向かって「××下さい」と言って購入するしか方法がなくて恥ずかしかった事。この本が出版された頃はスーパーで売るようになってカゴに入れさえすれば良かったから
「今頃になって便利になっても始まらない、ええい、悔しい」
とか、その薬局の人とのやりとりもかなり詳しく書いてあって面白い。
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結局、2年ほどで離婚する事になるのですが
「私たちは幸いまだ入籍していなかったので、お役所の厄介になる事はないが」
と書かれてあったので事実婚だったのかもしれないですね。
里中先生は初めてスランプに陥ります。
「彼方へ」「熱い十字路」「ひびわれたガラスの向こう」「無縁坂」「愛の時代」シリーズの頃らしいです。なかよしに連載されていた「スポットライト」は前半は良かったのだが、後半になってスランプに陥ってしまったとか。
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私が里中先生をテレビで見たのは90年代以降だったと思います、里中先生は落ち着いた雰囲気の大人の女性といった感じだったのですが、この本ではかなり赤裸々にぶっ飛んだ感じで書かれています。
心底愛する人かどうかを確認するにはその人の〇〇〇(書き難い)が食べれるかどうかなんですって😱それはいくら何でもって思いますが・・・里中先生のお母さんがあけっぴろげな感じの人で、性に関する事なども平然と話しているんですよ。
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この本は里中先生が20代に書かれたものなので、感性というかやっぱり若いな~って思いますね。当時、この本を読んだ女子中高生の里中満智子ファンはどう思ったのかな~😅本には里中先生の描いた漫画「アリエスの乙女たち」や「季節風」その他の作品が挿絵のように入っていてこれもアクセントになっていて良かったです。
「アリエスの乙女たち」は大ヒットしたそうです、私は1987年に大映ドラマで見た事があるのですが、漫画はまだ読んだ事がないんですよ。読んでいないのはドラマがそれほど面白いと思わなかったからなんですが、漫画の方はまた違った感じなのかもしれないですね。
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里中先生は漫画を描く事が好きで、10日のうち服を脱いでキチンとベッドで寝るのが一度くらいで、あとは服のままうつらうつらと短時間眠り、時間をみはからって無理やり起き上がり仕事を続けるといった生活をしていました。
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まあ、とにかくその当時思った事を包み隠さず書いていて面白かったです、この本を読んでから里中先生の漫画を読むとまた違った感じで楽しめると思いました。
絶版になっているのが残念です。
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