以前、村岡花子著「美しく生きるために」に関する記事を書きましたが
書き忘れた事があったので記事にしてみたいと思います。この本の中に村岡花子さんがハンセン病患者に対しての記述があるのですが、当時、ハンセン病はらい病と言われていて
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らい者のためにあわれみの手を差しのべられた光明皇后の昔にまでさかのぼらずとも、希望のないああいう病人の生活の中へ飛び込んで、治療の方法を講じ、更にその精神に慰安を与え、朽ちていく肉体に不滅の愛の火を点じた人々我が国にも外国にもあまたあるのである。
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と書かれてあるのですが、これは編集部が執筆当時のハンセン病患者に対する偏見を消し去る事のできない過去として、当時の表現のまま掲載したと書かれています。
このまま掲載すれば村岡さんのマイナスイメージにもなりかねないところですが、当時ハンセン病患者がいかに差別と偏見を受けてきたかという事を知ってもらうために、あえてそのまま掲載したようです。
容貌の変化、感染による恐怖心から強制的に療養所に隔離されていたという事実を知らなければいけないなと思いました。
村岡花子さんは慈悲深い人だったと思いますが、その村岡さんでさえこのような表現(希望のないああいう病人・朽ちていく肉体)をするという事は当時のハンセン病患者に対する差別や偏見がどれほどのものだったか想像できるなと思いました。
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多分、当時はこういった表現をするのは特に悪い事ではなく、当たり前のように言われてきたのではと思いました。私はこの本を読んでもをあまり時代を感じなかったと書きましたが、こういった表現でその時代を感じ取る事ができると思いました。