くるみDiary

昭和の少女漫画や日々感じた事を書いています!

(感想)「美しく生きるために」村岡花子

「赤毛のアン」シリーズの翻訳で有名な村岡花子さんのエッセイを読みました。
昭和20年代に村岡さんが若い人に向けて書いた内容なのですが

・「それいゆ」昭和21年8月創刊

・「ひまわり」昭和22年1月創刊

★「ひまわり」は10代向けの雑誌

★「それいゆ」はひまわりの姉雑誌で若い独身女性から主婦までを対象とした雑誌

画家の中原淳一さんが興したひまわり社から発行されていたものです、村岡さんはこの2誌にエッセイを寄稿していましたこの「美しく生きるために」のこれらの雑誌に掲載されていたものが書いてあります。

それにしても、戦後1年ほどでこういった雑誌が発売されるなんて、まだ日本が貧しかった時代だと思うので、作る方もかなりの苦労があったのではと思いました。

昭和20年代の若い女性が何を考えどんな風に生きていたのか、この本で分かるのではと思い興味をもちました。

しかし、意外とですね今とそれほど変わらないのではと感じました

世の中は物凄いスピードで変化はしているけど、人の内面、根本的な部分は時代を超えても変わらないのではとこの本を読んで思いました。

※私が気になったところ
愛される要素~母として・無条件の愛
長い、母としての一生のうち「無条件の愛」を子供から受け取る事ができるのは、この乳児期から幼児期までの間だけでしょう。じきに子供たちは成長し、母は子供の批判の対象となってきます。「それいゆ」第28号 1953年

この時代は親は子供に対して無償の愛などと思われていた時代なのかもしれませんね、私が思うのは成長につれて子供が変わっていくというよりも、親の方が変わってしまうように思いました。この当時はこの言葉はなかったと思いますが、毒親になっていくわけです。

子供からだけではなく親からも無条件の愛を受け取る事ができるのは乳児期から幼児期のように思います。

この本の中で時代を感じさせるものといえば

<女学生時評>新しい憲法>
11月3日に新しい憲法が公布されました、これは6ケ月経って昭和22年5月3日から本当の効力が出る事になっております、新憲法が男女は人間としてのねうちにおいて平等だという事をはっきり言っているのです「ひまわり」第1巻第1号 1947年

この新しい憲法の部分はやはり戦後2年経った時代の雑誌に寄稿されたものなのだなと、感じる事ができます。

実は私はこの本は期待外れでもあったのです、もっと何かその時代を感じさせる事が書いてあるのかと思って読んだので、昭和20年代の若い女性がどのような考えだったのかはこの本ではあまりよく知る事ができませんでした。

強いて言えば中原淳一さんの挿絵が時代を感じさせるものでした、もちろん良い意味で

10代向けにしては言葉遣いが堅苦しい印象を受けました、でもこれこそ、この時代の雑誌の特徴でもありますよね、今だと若い人向けに書かれた文章はもっとくだけた感じのように思いますから。

それにしても「ひまわり」「それいゆ」はそれなりに経済的に余裕のある人じゃないと購入する事はできなかったのではないでしょうか、その辺の事も知りたかったです。