くるみDiary

昭和の少女漫画や日々感じた事を書いています!

ほろ苦い青春映画「若い人」1962年 吉永小百合・石原裕次郎

石坂洋次郎原作の「若い人」

何度も映画・ドラマ化されていますが

私が一番好きなのが吉永小百合主演の「若い人」西河克己監督

1952年公開の市川崑監督、島崎雪子主演のも観た事がありますが

私は吉永さんの方がいいなと思いました。

他のキャストも魅力的で

間崎慎太郎★石原裕次郎

橋本スミ子★浅丘ルリ子

2人は同じ高校に勤務する教師

原作は函館が舞台なのですが、この映画では長崎に変更されています。

間崎は同僚の橋本先生の事が好きなのですが

出生に秘密がある江波恵子(吉永小百合)は間崎先生の事が好きで

少し反抗的な態度をとる扱いにくい生徒でもありました

原作では間崎が江波恵子に惹かれていくようなのですが

この映画ではあくまで間崎は橋本スミ子の事が好きで

江波恵子の自分への気持ちを知ってはいましたが

何とかなだめるためにその気があるように

みせかけているといった印象をもちました。

2人きりになった時、恵子は間崎に向かって

「先生、恵子のこと好き?」

って聞かれた時

「好きだよ」

って言ってしまうのですが

これも本心というより、大人の対応というような感じがしました。

恵子は自分が妊娠していると言い張りますが

産婦人科の診察台を見て我に返ります。

そして最後は間崎に橋本先生と結婚してほしいと言いますが

この時の江波恵子のセリフ

「間崎先生、橋本先生と結婚なさい」

という言い方がなんかとても気になりました

〇〇なさいって当時の女子高生が使っていた言葉なんですかね。

上品でいてそれで命令形のような感じもするし

それに何より古くさい言い方(古いんですけどね)😅

私の感想としては間崎先生と恵子が一緒になっても

いいような気がしました、なぜなら

江波恵子のその後の人生を変えるのは、間崎先生のような気がするからです。

でも恵子は自分から身をひいてしまいます

おそらく間崎先生が本当に好きなのは橋本先生というのを

知っているからだと思うんです。

最後の3人それぞれの複雑な心情は、見ていてつらいものがありました

これは明るい青春映画ではありません

でも私はこの映画が大好きです👧

吉永小百合の自伝に

長崎ロケから東京に戻るとプロデュサーに石原裕次郎さんが

「江波恵子の役を小百合ちゃんにもう少し体当たりで演じてほしい、思いっきりぶつかってきてくれないと自分が演じにくいんだ」

と吉永さんに伝えてほしいと言われたそうです。

監督から直接言われた事はあってもこういう感じで演技の注文をされたのは初めてで戸惑っていたのですが、大スターの石原裕次郎との共演で遠慮と緊張があったらしい。

しかし、撮影終了の後「小百合ちゃんお疲れさま、よく頑張ったね」と石原裕次郎から笑顔で言われホッとしたそうです。

長崎ロケでは浅丘ルリ子から食事に誘われたのですが、吉永さんは皿うどんを平らげてしまったとの事。

でも浅丘ルリ子さんは妹さんと2人で、4人前の皿うどんを平らげてしまったそうです(すごい食欲ですね)

「日活の厳しい撮影に耐えるには、一に体力、二に食欲よ」と浅丘ルリ子は笑いながら言っていたそうです。

浅丘さんってあまり食べないという噂があったのですが

あれは都市伝説だったんですね。

この映画の石原裕次郎の雰囲気がとてもいいんですよ

なんか飄々としていて屈託のない感じで

石原裕次郎って実際もこういった感じの人なのではと

思わせるくらい自然な演技でした。

重いテーマなのですが石原裕次郎の魅力で

物凄く暗い感じには見えないんですよ。

浅丘ルリ子の抑えた感じの演技も良かったし。

長崎から東京に修学旅行に行くのですが

その時、建設中の東京タワーがチラッと映るんですね

こういう景色なども今とは違っていて見ていて楽しかったです。

それからこの映画の主題歌「若い人」

作詞:木下忠司、作曲:池田正義

は石原裕次郎が歌っているのですが

これも軽快な感じがして好きな曲です。

隠れた名曲?

石原さんはこの曲をテレビで歌った事はあるんでしょうか

ぜひ、聴いてみたかったです。