一条ゆかり著「デザイナー」は人間関係がかなり複雑な物語だなと思いました。読み始めた頃、自意識過剰気味で冷たそうなヒロインの亜美に魅力を感じませんでした。でもその亜美も人との出会いによってようやく心を開くようになるのですが。
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モデルの仕事をしている亜美はファッション雑誌「イフ」の編集長でかなり年上の青石に初めて恋をするが、青石は亜美の実の父親だった事が分かり、初めはショックを受けるがそのうち父親として受け入れるようになる。(序盤から凄い話だな~)
亜美は実の母親はデザイナーの麗香だと知り動揺し、それが原因で交通事故にあってしまう。足を怪我しモデルの仕事はできなくなり、同じ年の実業家、朱鷺のすすめもありデザイナーの仕事を始めるが母親の鳳麗香がライバルとなる、麗香と青石は元夫婦。
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このストーリーを読んだだけでも、なんかかなりの愛憎劇だなと思いますが実際そうなんですよ、私は見た事ありませんが2005年に昼ドラとして放送されているんですね、なんか昼ドラにピッタリのストーリーのだなと思いました。
この「デザイナー」は1974年2月号~同年12月号のりぼんに掲載された作品で、やっぱりこの頃の一条先生の絵ってすごく良いんですよ、完璧だと思う🧡
「砂の城」は連載スタートした頃はこの「デザイナー」のような絵だったのですが、中盤からすっかり画風が変わってしまって残念に思った。
「デザイナー」は同じ状態の絵で最終回を迎えているので違和感はなかったです、本来こうあるべきなんだと思いますが、「砂の城」は変わり過ぎです、ガッカリ💧
最終回は亜美があの選択をしたのは、それまでになかった1人では生きていけないという感情を知ってしまったからなんだろうなとも思いましたし、朱鷺は映画「サイコ」のノーマン(アンソニー・パーキンス)のような感じになってしまったかなと思いました、でもあんなに不気味ではないですよ、別の意味で怖いなと思いました。
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それから朱鷺の秘書の柾の絵はおおやちきさんが担当したらしいですが、やっぱり柾だけ浮いた感じがありますね、なぜ別の漫画家が描いたんでしょうか。
この作品は一人の女性、鳳麗香の野望が生んだ悲劇的な物語だなと思いました。
「デザイナー」は登場人物が着ているファッションも素敵で、70年代のファッションに興味のある人はその辺も見どころだと思います。
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